過去の高名な作家たちは、なるほどと納得させる制作についての考え、個性、技術を持っています。

そして行動的で、画家という職業に徹していました。私は、画家に徹することができずに、副業的な立場で制作を続けてきました。

それでも、どのような絵を描けば良いのか。描いた絵がいったい何になるというのか。どんな価値があるというのか。そもそもそれは描く必要があるのか。

……などといっぱしの作家らしい悩みを持ち、また、この克服が一番大きな課題でした。

いつの頃からか、我々の身の周りの何気ない生活の中に、人にとって、日本人にとって、心に留めておきたいもの、忘れてならないもの、大事にしたいものがあるのではないかと思うようになり、そういうところに視点を当てて表現していこうと思うようになりました(全てではありませんが)。